暗闇の中3kwのフレネル(照明機材)が、点灯と同時に振り子のように舞台上に落下する。一人のパフォーマーと舞台中央の四角い穴が浮かび上がる。振り子の照明が揺れながら、質問を投げかける―「What is Geography?」「What is the Earth?」「Where does the Sun set?」・・・(1856年のアメリカの教科書『FIRST LESSONS IN GEOGRAPHY by James Monteith』より抜粋された質問が機械的な音声で読み上げられていく)。やがて、穴の中心に静止した照明は上空へ引き上げられ舞台上に円弧を描き、2万年前に氷床が削り出して作り上げた地形図へと変化する。その中心は暗闇に隠され、パフォーマーはそのエッジの上で運動を始め、やがて自らのフラッシュライトを使った光跡へと変化する。
黒衣の人物たちがスーツを脱ぎ捨てると、軽やかでカラフルな装いへと変貌する。右手からロープに引かれDJブースが現れる。DJは一人の「指揮者」が指示するままにレコードをセットし操作する。『Moon River』、『I Had It Made』…、赤ちゃんの泣き声すら。黒いスーツから解放されたかのようなパフォーマーたちは、喜びに溢れた踊りを繰り広げているが、「指揮者」の号令「STOP!」「CHANGE!」「GO!」の下で、行動は制限されている。「指揮者」が管理するレコードは、盤面がテープでどんどんマスキングされて演奏不能となり、最後にはノイズとなる。